CLT(直交集成材)は、大版の木質面材料であり、2014年にJASより材料企画が定められました。

そして、2016年に建築基準法に基づく一般的な設計方法等の関連告示が整備されています。

平成30年度の予算概算要求では、国土交通省、林野庁、環境省がCLT普及に向けてそれぞれ取り組みを行う予定になっています。

前回は、国土交通省の取り組みをご紹介しましたが、今回は林野庁のCLT普及への取り組みをご紹介します。

1) 林野庁「CLT等の利用促進(CLT等新たな木質建築部材利用促進・定着事業)」

日本の森林は、人工林を主体に利用期を迎えており、この豊富な森林資源を活かして林業・木材産業の成長産業化を実現するためには、新たな木材需要の創出と、地域材の安定供給体制の構築を車の両輪として進めることが大事です。

林野庁では、新たな木材需要の創出を図るため、建築物の木造・木質化及び木材産業活性化総合対策のうち、特にCLT等の利用促進に取り組む予定となっています。

現在、木材利用が低位で、存在的需要が大きく見込まれる「中高層建築」「低層非住宅建築」等をターゲットとしたCLTの新たな製品・技術の開発や一般的な建築材料としての普及を進めていきます。

(1) 応募要件に関して

募集要件は、CLT建築物の設計・建築の際に、協議会方式をとる必要があります。協議会方式の構成員の例としては、設計者、施工者、CLTパネル生産者、設計者団体、施工者団体、地方公共団体などです。

協議会において、勉強会を実施するなどし、ノウハウを共有していき、CLT等の新たな木質建築部材の利用促進や定着に繋げることを目的とされています。

(2)対象経費に関して

対象経費は、CLT建築物の設計と建設費ですが、基礎等は除きます。

(3)補助率に関して

補助率は、3/10で、特に波及効果の高いものに関しては1/2です。つまり、できるだけCLT建築物としての波及効果を検討しながら設計を進めていくと有利になります。

(4)実際のCLT関連における事例

CLT関連の事例としては、「くりばやし整骨院(神奈川県藤沢市)」「ナイス(株)多賀城物流倉庫事務所棟(宮城県多賀城市)」などです。

その他にも、企画から設計段階に至る課題を解決するための指導・助言を行う専門家派遣の取り組みの支援などもあります。

これからCLT建築の設計や施工に取り組まれる際には、是非、上記のような助成制度を上手に活用していただき、実務にお役立ていただければと思います。