建築士の資質、能力の向上及び設計監理業務の適正化などに関して、平成20年に建築士法が改正され、平成20年11月28日に施工されています。

実際に建築士事務所への立ち入り検査を行っている自治体は数多くあり、その結果事務所廃業等につながっている場合もありますので、立ち入り検査の際に不備が多かった内容に関して、前回に引き続き遵守すべき内容を詳しくお伝えしていきます。

1) 特に立ち入り検査で調査されている内容

建築士事務所に義務付けられている事項の中でも、特に不備の多かった事項六つのうち残りの三つを以下にご説明いたします。
ただし、自治体によって違いがあると思いますのでご注意ください。

(1)工事監理報告(建築士法第20条)

工事監理報告書には各種様式があり、構造・規模により中間検査工程の有無や回数、官僚検査時に作成すべき様式等がありますので、工事内容によりご確認下さい。

(2)定期講習の受講(建築士法第22条の2)

一級、二級、木造建築士は、建築士事務所に属する場合、3年ごとの建築士定期講習が義務付けられています。講習は、公益社団法人 建築技術教育普及センターの他、都道府県建築士会、都道府県事務所協会、総合資格学院、日建学院などで受講することができます。

受講する場所によって、金額や申し込み方法が異なっていますのでご注意ください。金額が安く、インターネットで申し込みが可能な総合資格学院や日建学院などがおすすめです。

(3)契約後の書面の交付(建築士法第24条の8)

建築士事務所の開設者は、設計、工事監理の受託契約を締結したときは、必要事項を記載して遅延なく委託者に交付しなくてはいけません。なお、書面の書式は設計、工事監理とも共通です。

また、必要事項とは、「委託者」、「受託者」、「受託業務名称」、「業務の種類及び内容」、「実施方法及び業務実施期間」、「作成する設計図書の種類」、「工事と設計図書との照合の方法及び工事監理の実施状況に関する報告の方法」、「設計又は工事監理に従事することとなる建築士・建築設備士」、「設計又は工事監理の一部の委託先」、「報酬の額及び支払時期」、「契約の解除に関する事項」です。

上記のことは、建築士事務所として遵守すべき内容ですので、もし不備等お気づきになられましたらご準備いただくなど、日頃の業務に活かしていただければと思います。