緊急事態宣言の合間に少し散歩して参りましたので、その模様をお伝えいたします。

今回も、自分が行きたいところに行きましたが、図らずも自分が好きな「読書」について改めて考える機会となりました。







まずは埼玉県の所沢市へ。




住宅街の中に公園があり、それを抜けると目的の建築が見えてきます。




角川武蔵野ミュージアムです。











地面から岩が隆起したような不思議な形状。







外壁に用いられているのは1枚60kgもある花崗岩だそうです。








それにしてもファサードに開口部が無さ過ぎて不思議でした。




奥まった部分に窓や排気口があるのは一応見えましたが。








2階の入口から入ると真っ黒なエントランス。







アートの展示も少しありました。







そういえば、ウルトラマンの顔って仏像の表情からインスピレーションを受けているって聞いたことがありますね。




アルカイックスマイルって言うのでしたっけ。








チケットを買って4階へ。











内部は本棚の森って感じでした。




展示されている本は、実際に手に取って読むことができます。












全体を巡って「本棚劇場」へ。




書籍の量に圧倒されます。







プロジェクションマッピングのような演出も。











階段を上がって5階から見下ろしています。




キャットウォークも見えますが、本当に凄い蔵書量です。




管理が大変そう…。







4階に戻ってきて、「エディット&アートギャラリー」へ。











ミュージアムが立地している、ところざわサクラタウン全体の模型もありました。




角川武蔵野ミュージアムの周りには、ホールのある複合施設等もあります。







ミュージアムの輪郭をワイヤフレームで象ったものを中心に、ちりばめた言葉を上部のプロジェクターから流しているアート。




このミュージアムの主題である、「連想」というキーワードを見つけました。







内部を見終わり外へ。




この日は暑く、周辺に住んでいらっしゃるのでしょうか、水遊びをするお子さんを連れたご家族で来ている方がたくさんいらっしゃいました。




周囲から高さが上がっているのもあって、見晴らしも良かったです。




角川武蔵野ミュージアム




角川武蔵野ミュージアム (kadcul.com)





















電車で移動して、東京へ。




次の目的地の間にひとつ展覧会を見て来ました。




こちらでは撮影不可でしたので入口の写真だけ。




フィンランドの建築家、エリエル・サーリネンについての展覧会でした。











実作としてはヘルシンキ中央駅、コンペ案としてシカゴのトリビューン・タワー2等案が有名です。




(画像は展覧会後に購入した書籍。)







フィンランドの建築家というともう一人、アルヴァ・アアルトを思い出すのですが、彼らに共通する曲線と直線を共存させた造形は非常に美しく、個人的に大好きです。








(数年前に行った、東京ステーションギャラリーでのアアルトの展覧会。




こちらも撮影不可でしたが、また別の展覧会等があればご紹介したいと思います。
















展覧会を終えて再び歩き始めます。




パナソニック汐留美術館の周辺には、旧新橋停車場がありました。








天気予報では曇りだったはずですが、見事に晴れてきて散歩がはかどります。

















本日の最終目的地はfuzkueというカフェです。




電車に乗って移動、初台駅のすぐ近くにありました。








小さなビルの2階にあるカフェです。




















読書をする人のためのカフェを考え抜かれた店舗です。




そのため、店内におけるルールがあります。




例えば、書き物をする際ペンのノック音に気を付けるとか、パソコンは使用不可とか、カメラを使う際は連続して撮らない(無音カメラ推奨)とか。




世間一般におけるカフェとは一線を画すルールです。




でもそれは、細かいとか厳しいとかそういったルールではなくて。




静けさを必要とし非常に繊細な読書という行為が好きなもの同士が、共存して同じ空間で読書を行うための優しさや気遣いを明確化・言語化したものなのです。




そういったニュアンスは「本の読める」カフェという名前からも感じ取れます。







その他、ルール以外に空間から感じとれたのは、とにかく光と音を絞っていることです。




読書時に文字を追えるよう手元を最低限照らすだけのライト。




流れているのは言葉やメロディすらないヒーリング音源(と呼ぶのでしょうか)。




読書に集中してもらうために光や音の環境にも配慮がされていることがわかりました。







こう見てみると最初に紹介した角川武蔵野ミュージアムとfuzkueはどちらも本に関連する内部空間でしたが、全く方向性が違いますね。




前者は紹介した写真にもあった通り、本に書かれている文字や言葉を通しての「連想」を賛美するような、明るく広々とした空間でした。




知の集合というイメージ。




その一方で、後者は「読書」という人の行為それ自体にフォーカスした空間構成。




人によっては薄暗く感じる方もいらっしゃるかと思いますが、『陰翳礼讃』とか奥ゆかしさとか、そういったものを感じる私好みの空間でした。







(カレーとコーヒーとチーズケーキをいただきました。




音をほとんど立てないように食べることを意識するのはなかなか難しくソワソワしてしまいましたが、非常に美味しかったです。)












本とコーヒーを堪能して外に出ると暗くなっていました。




小さく静かで優しい照明が2階に見えます。

















今回訪れたfuzkueには、店主さんが出している本(画像左)に近所の本屋さんで出会って読んでからずっと行きたいと思っていました。




そしてfuzkueでは右のメニューの冊子を購入しました。




私の本棚には、どこかを歩く度に、本が増えていきます…。




fuzkueホームページ
fuzkue | 本の読める店













※写真はすべて筆者撮影




※設計者などの人名は敬称略




※道中は全て1人で行動(マスク着用・各所にてアルコール消毒)