木構造を理解し、設計するためには、その材料である「木材」のことをよく知る必要が有ります。ここでは、過去の被害例から設計上留意する点を学び、部材設計を行う前に押さえておくべき点をご紹介します。

前回は「木材の強度と許容応力度」に関してご紹介しましたが、今回は「木造の構造特性」と「木材の接合方法」に関してご紹介いたします。

1)「木造の構造特性」とは?

「RC造」は、強度が高い反面、変形能力が低くなっています。「S造」は、強度も変形能力も高くなっています。それらに比較して、「木造」は、強度が低い反面、変形能力が高くなっています。この変形能力が高いことを指して、「ねばる」と表現されています。

木材は、強度が弱くもろい材料ですが、木造として接合部でつながれた構造体になると、接合部がめり込むことでねばりのある構造になります。

しかし、接合部がねばりのない、もろい変形をすると、構造体にねばりがなくなってしまいます。つまり、木造の変形能力の要は「接合部」ということなのです。

(1)「層間変形角の制御」とは?

1978年に発生した宮城県沖地震の被害を鑑み、1981年に新耐震設計法が施行され、ここで変形制限の規定が設けられました。

RC造やS造では、一次設計時(震度6弱以下の中地震に対して)の層間変形角を1/200rad(ラジアン)以下としていますが、内外装材の変形追従性が高ければ、1/120rad以内としてもよいことになっています。

木造建築物の壁の耐力壁は、それまで地震後の修復限界として1/60radのときの値を採用しておりましたが、この新耐震法を受けて1/120radとなりました。

(2)「層間変形角」とは?

水平力がかかると、建物は水平方向に変形します。この変形量と階高の比が層間変形角です。単位はrad(ラジアン)と表します。
木造は、倒壊するまでの層間変形角が大きいのが特徴で、1/10radまでねばるものもあります。

2)「木材の接合方法」とは?

大きく分けて3種類の接合方法があります。一つ目は「剛接合」で、部材が固定されて動かない状態となっています。この接合方法には、「圧縮」「引張」「曲げ」「せん断」の4つの力が作用します。

二つ目は「ピン接合」で、鉛直荷重や水平荷重は伝達しますが、曲げが生じない接合です。部材同士をボルト締めした接合がこれに該当します。

三つ目は「ローラー」で、鉛直荷重は伝達しますが、水平荷重を伝達しません。礎石の上に載せただけの柱などがこれに該当します。

「木材の構造特性」と「木材の接合方法」に関して詳しくご紹介させていただきました。実務等において参考になる部分がございましたらぜひご活用ください。