前回は、設計・施工の分離発注方式と一括発注方式ついて概説しました。

これまで設計・施工分離発注方式を原則としてきた公共工事でも、設計・施工一括発注方式の採用に道を開く動きが昨今注目されています。

一般的に一括発注と表現される方式の中にも、さまざまなバリエーションがあります。
今回は、そのバリエーションについて、ご紹介します。

1)一貫方式

建設会社(いわゆるゼネコン)が、設計から施工までを受注する方式です。建設会社の設計部が設計し、工事部が施工します。国内民間工事では、よく採用されてきました。
日本型デザインビルドなどと呼ばれることからもわかるとおり、欧米ではあまり見られない発注形態と言われています。

2)コンソーシアム方式

設計コンサルタント会社(いわゆる設計事務所)と施工業者が、共同企業体やグループを組んで設計から施工までを受注する方式です。

それぞれに専門技術を有する設計者・施工業者が設計段階から協働することにより、高度な工事や、創造的かつ合理的な工事の実現が期待できます。

3)実施設計以降方式

基本設計までは発注者が用意し(実際には別の設計コンサルタント会社等に委託し)、実施設計と施工を建設会社等に発注する方式です。

発注者による設計への関与を確保しつつ、一括発注方式のメリットである、施工業者のノウハウの設計への反映、工期・コストのコントロールが期待できます。

なお、基本設計に携わった設計コンサルタント会社は、実施設計以降もアドバイザーなどの立場で計画に関与することが考えられます。

4)施工予定者技術協議方式 (ECI(Early Contractor Involvement)方式)

施工業者が、発注者と技術協力委託契約を結ぶことによって、設計段階から計画に参加して技術協力を行い、設計完了後、工事金額について発注者と合意に至れば工事契約を結ぶ方式です。

設計施工一括発注方式に関連して語られることの多い方式ですが、設計・施工を一つの主体に発注するわけではなく、設計者と施工業者はあくまで独立した立場なので、正しくは設計施工一括発注方式には分類できません。

以上、設計・施工一括発注方式のバリエーションについてご紹介しました。
(なお、上に挙げた分類と名称は、現在のところ、まだ確定的に定義されたものではありません。)

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設計・施工一括発注方式をお考えの際、事前に「基本設計」まで進め、実施設計以降を設計・施工一括発注することにより、より確かな計画遂行が期待できます。

ぜひご活用ください。