前回まで、建築材料としての石について、石種や仕上、工法を大まかに紹介してきました。

今回は、石材を豊富に使っており、それが建築の魅力になっている見学可能な建築物について、いくつか紹介します。

1)国会議事堂(衆議院・参議院)

(1)概要

・所在地 : 東京都千代田区永田町1丁目7番1号
・構造  : 鉄骨鉄筋コンクリート造
・規模  : 地上3階地下1階 (一部4階、塔屋付)
・床面積 : 53,464㎡
・竣工年 : 1936年

(2)石について

国会議事堂は、石の博物館と呼ばれることもあるほど、様々な石材が使用されています。

基本的に国産材が使用されており、建設当時、全国から取り寄せられた、現在では入手不可能な希少石材を数多く鑑賞することができます。

内部では、様々な色、柄、産地の美しい大理石や石灰石が各所に使われており、かつての国産材の多様性に驚かされます。一方で、多種の大理石系を使用しながらも全体的に華美になりすぎない、抑制のきいた石使いがなされており、デザイン上も見るべきものがあります。

外部は御影石で、基壇部分は山口産黒髪石、基壇より上部は広島産尾立石が使用されています。

(3)見学方法

衆議院、参議院それぞれ別、見学ツアーが用意されています。事前申し込みは不要です。
詳しくは国会議事堂のHPをご覧ください。

2)最高裁場所

(1)概要

・所在地 : 東京都千代田区隼町4番2号
・構造  : 鉄骨鉄筋コンクリート造、一部 鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄骨造
・規模  : 地上5階地下2階
・床面積 : 53,994㎡
・竣工年 : 1974年

(2)石について

内装、外装とも、代表的な国産白系御影石である茨城産稲田石を全面的に採用しています。

ほぼ一種類の石種で多くの部分が構成されていることにより、重厚さやストイックさのようなものを感じさせます。

担当施工業者のHPによると、石工事が建築工事費の20%を占めたとあり、石の量塊による迫力を体験するには最上の例と言えるのではないでしょうか。
割り肌、ジェットバーナー、磨きなど、同じ稲田石でも部位によって表面仕上が変えられています。

(3)見学方法

事前申し込み制の見学ツアーが用意されています。
詳しくは最高裁判所のHPをご覧ください。

3)帝国ホテル中央玄関(移築)

(1)概要

・所在地 : 愛知県犬山市字内山1番地(現在)
・構造  : 鉄筋コンクリート造
・竣工年 : 1923年(オリジナルの竣工年)

(2)石について

御影石、大理石以外の石材を大々的に使用した有名な事例として、愛知県犬山市明治村内に移築展示されている、旧帝国ホテル中央玄関があります。

言わずと知れた、フランク・ロイド・ライト設計による国内遺構です。
大谷石が、その加工容易性を活かして細かく装飾されつつ、各所に使用されています。

(3)見学方法

明治村内の展示施設として公開されています。

石が見どころの建築物は数多くありますが、そのうち見学可能で有名なものについて、以上3施設を紹介しました。

機会がありましたら、訪れてみてはいかがでしょうか。