f17c41c6069b74020a79f38a1573c3c7_s
いずれやってくる南海トラフ巨大地震は、過去の地震被害と同じく、多くの木造住宅の倒壊が予想されております。

木造耐震診断の需要が伸びておりますが、診断後、耐震改修にどのように繋げていくかということが課題になっており、ここでは耐震診断後、実際にかかるコストを下げることで耐震改修に繋げていくためのコツを詳しくお伝えしていきます。

コツ1)補強前に評点を見直します

一般的な二階建ての必要耐力を計算する場合は、精算法を使って必要耐力を見直してみましょう。

建築基準法施工令88条で求める必要耐力より、略算による方法(精算法)を使うことで、多少ですが、二階の必要耐力は少し増えるものの、一階の必要耐力を減らすことができます。

また、耐力壁の配置の検討は、四分割法による配置の低減より、「偏心率」による配置の低減の方が、実際に補強を行う箇所が少なくて済みます。

柱頭・柱脚接合部の仕様も、N値計算による算定により、適切な金物を設計するとともに、引き抜きの起こらない場所は、金物施工がなくても金物Iで計算します。

そうすることで、現在の保有耐力を適切に判断できます。

以上のような工夫により、必要耐力を減らすことで、耐震改修の際の補強部分の数を減らし、その結果耐震改修のコストを減らすことにつながります。

コツ2)天井・床解体なしでできる安価な最新の工法を使います

耐震改修が必要となる、昭和56年以前の旧耐震基準の建物は、ほとんどが土壁であり、床・天井・壁の解体部分が多くなればなるほど、耐震改修の費用がかかります。

「愛知建築地震災害軽減システム研究協議会」では、名古屋工業大学、名古屋大学と共同で耐震方法を研究し、独自の天井・床を解体しないで耐震補強できる工法を紹介しています。

解体を行わないため、工期の短縮と、コストの削減につながります。ホームページでも紹介されておりますので、ぜひ、ご確認ください。

コツ3)計画と見積は3パターン作成します

耐震診断報告書に3パターンの補強案を提示することで、そのお施主様の望む耐震改修が見え、どのように耐震補強していくか選びやすくなります。

3パターンとは、目標評点を、1.0(とにかく命を守る補強)、1.3(避難所生活を避ける補強)、1.5(住み続けることが可能な補強)の3つに設定します。

説明の際には、その3パターンの補強計画と概算見積りをつけると効果的です。

尚、目標評点は、各地の最大地震震度によって変わりますので、各自治体にて最大地震震度をご確認の上、3つのパターンを決めていただければと思います。

以上のことを耐震診断後、お施主様に提示する報告書に盛り込んでいくとこで、工期短縮・コスト削減された計画を作成することができます。

その結果、手の届きやすい価格となることから、耐震改修につながり、多くの人命を守ることができるのです。