いずれやってくる南海トラフ巨大地震は、過去の地震被害と同じく、多くの木造住宅の倒壊が予想されています。

木造耐震診断の需要が伸びていますが、診断後、耐震補強の費用がかかりすぎるため耐震補強を諦める方もいらっしゃいます。

ここでは、新しい木造耐震補強の工法が生まれてきている中、工期を短くできたりコストを安くできたりするおすすめの耐震補強の工法を3つご紹介します。

工法1)構造用合板補強工法「上下開き」「押入れ」(愛知建築地震災害軽減システム研究協議会の認定工法)

天井や床などの撤去・復旧を最小限に抑え、とても安価に改修工事を行うことのできる新しい工法がたくさん開発されています。

見栄えはともかく安くしたいのか、ある程度予算をかけてでもスマートに仕上げたいのか建築主の要望を踏まえてご選択ください。

この構造用合板補強工法は、床から天井までの壁を構造用合板で補強します。押入れ内部の壁の補強においても、天井・床・中段・天袋を解体せずに、床から天井までの壁を構造用合板で補強します。

それにより天井や床などの撤去・復旧を減らすことができ、コスト削減につながります。

工法2)耐震セイフティ工法(株式会社オキナヤ)

木造住宅の耐震化を促進する手軽で確実な工法です。

「耐震補強三角火打金物」が、一部開口部などがあり筋交いを取り付けられない場合でも確実に補強することが可能です。

耐震補強の工法は、事前に研修が必要であったり登録費用が必要であったりしますが、この工法は研修等が必要ありません。その意味でも手軽に採用できるおすすめの補強方法です。

また、日本建築防災協会の認定を受けていますので、耐震補強の評価機関で評価対象として認められますので安心して御採用ください。

工法3)ARS工法(アンカーロープ補強工法)(フクビ化学工業)

耐震補強を最小限で抑えるためには、木材の接合金物の評価を上げると効果的です。

ところが、接合金物で日本建築防災協会の認定を受けているものはほとんどありません。

この工法は耐震補強のための後付け施工において「告示1460号同等程度」を取得しており、N値計算等で柱の引き抜き力を計算した上で必要箇所に接合金物をきちんと取り付け、既存木造住宅の耐震性を向上させることができます。

ただし許容体力が15kNですので、それ以上の柱の引き抜き力がかかる箇所には使用できないため、15kN以上の引き抜き力がかからない耐震補強計画を立てる必要があります。

以上のような工法を御採用いただくことで、工期短縮・コスト削減され、見た目にも配慮された耐震補強計画を作成することができます。

その結果、手の届きやすい価格で意匠性や利便性を損なわないことから、耐震改修につながり、多くの人命を守ることができます。