平成29年度一級建築士設計製図試験の課題は「小規模なリゾートホテル」です。確実に試験に合格するために、課題に対する対策を行うことが大事です。

今回は、課題の特徴を詳しくお伝えいたします。

1) 要求図書

要求図書は、配置図(縮尺1/200)、1階平面図、2階平面図(縮尺各1/200)、断面図(縮尺1/200)、面積表、計画の要点等です。

この中でも、配置図は初めての出題です。従来は「1階平面図兼配置図」として明示されておりました。

平成29年度は、配置図に外構計画や屋根伏図を描くことを想定して作図練習を行う必要があります。作図量が増加しますので、時間配分の計画を立て、時間がかかっている作図箇所は作図スピードをあげる必要があります。

2) 注意書き

今回注意書きが4つあります。
一つ目は「『高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律』に規定する特別特定建築物の計画」

二つ目は「パッシブデザインを積極的に取り入れた建築物の計画」

三つ目は「斜面地を考慮した建築物の計画」、四つ目は「車両動線(車回し、車寄せ等)を考慮した外部空間の計画」です。

このうち二つ目の「パッシブデザインを積極的に取り入れた建築物の計画」は、平成28年度試験と同様となっています。

設備機器に依存することなく、建築物の構造や材料などの工夫により「太陽光・風・空気・熱」を取り入れて快適な室内環境を提案する必要があります。

(1) 初要求:『高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律』に規定する特別特定建築物の計画

昨今、社会問題とされている「高齢者の増加」や「障害者の権利に関する条約」などに加えて、2020年の東京オリンピック開催を見据えた「建築設計標準(平成29年3月改正)等が策定されており、改正内容については宿泊施設の「一般客室」の設計標準の追加などが今回の出題のポイントです。

(2) 初要求:斜面地を考慮した建築物の計画

これまでの試験でも傾斜敷地での計画が求められてきましたが、「斜面地」という形で事前に発表されたのは平成29年度が初めてです。

(3) 初要求:車両動線(車回し、車寄せ等)を考慮した外部空間の計画

「配置図」の中で見られる大きなポイントになります。

そしてさらに(2)、(3)ともに、今回(1)の部分に明記されている『高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律』を遵守する必要があり、計画上の配慮は重要な要件になってきます。つまり、プランニングの難度を押し上げるポイントになると考えられます。

エスキスの時、そして作図の時に特に常に意識して、繰り返し練習をしてみて下さい。