CLT(直交集成材)は、大版の木質面材料であり、2014年にJASより材料企画が定められました。そして、2016年に建築基準法に基づく一般的な設計方法等の関連告示が整備されています。

平成30年度の予算概算要求では、国土交通省、林野庁、環境省がCLT普及に向けてそれぞれ取り組みを行う予定になっています。

前回は、林野庁の取り組みをご紹介しましたが、今回は環境省のCLT普及への取り組みをご紹介します。

1) 環境省「木材利用による業務用施設の断熱性能効果検証事業」

この事業は、農林水産省との連携事業です。CLT等に代表される新たな木質部材を用いたモデル建築を建設し、その断熱性能をはじめとする省エネ効果、省CO2効果等について定量的に検証(3カ年)を行う事業を支援します。

(2)対象経費に関して

対象経費は、設計費・工事費・設備費、計測費等の一部です。平成29年度分の補助金では設計費・工事費についてCLTに関する部分のみ対象でしたので、対象が広がっていることがわかります。

(3)補助率に関して

補助率は、3/4(上限5億円)となっています。

2) ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)化等による住宅における低炭素化促進事業

この事業は、経済産業省、国土交通省と連携している事業で、ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)とは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」です。

それぞれの省庁により補助内容、補助額が異なります。

(1) 経済産業省資源エネルギー庁

ビルダーによる現行より優れた建材・設備運用で自家消費拡大を目指すZEHが補助対象ですが、補助額はまだ未公開です。

(2) 環境省

ZEH要件を満たす戸建て住宅が対象で、1戸当たり70万円の補助です。

(3) 環境省

上記2件の補助金と重複して申し込める補助金で、CLTやCNF(セルロースナノファイバー)など低炭素化につながる素材を一定以上使用した戸建て住宅の建築に、1戸当たり90万円の補助ができます。

これからCLT建築の設計や施工に取り組まれる際には、是非、上記のような助成制度を上手に活用していただき、実務にお役立ていただければと思います。