全国には重要伝統的建造物群保存地区が117地区(2018年現在)存在しております。

その中の一つ、福岡県八女市でも、伝統的建造物の保存・活用が盛んに行われています。実際に空き家を改修して、移住された若い方が増えているのです。

ここでは、実際にまちづくりを実践されていらっしゃる方から教えていただいた「まちづくりの3つの極意」をご紹介いたします。

1) 民家及び町並み保存の極意

住民・技術者・行政のネットワークと覚悟が必要です。

それぞれが果たす役割があり、一つでも欠けると困難になります。八女市では、空き家を解体させない懸命の努力により、伝建で解体を止めた空き家15件あり、保存・活用されています。

2) 建造物の修復技術の極意

次世代へ資料として手渡すことが大事です。一つの材料でも残して、全部を交換しないという姿勢が必要です。特に痕跡の多い柱は、情報がたくさんありますので小屋裏に保存します。

(1) 調査方法(解体工事前)

当初材、中古材を仕分ける、痕跡を調査するなど、該当している建築物を調査する。また、古図面・古写真などの資料を探し、地区内の類似調査を行うことも必要です。

それらによって、根拠が明確なものは「復原」し、根拠が不明確なものは「整備(修景)」しますが、地区内に存在する同時代の類型により行います。

(2) 調査方法(解体工事中)

事前調査で不明な履歴は、解体工事に入ってから明確にしていきます。

ここでいう「解体」とは、基本的に手作業で丁寧に分解して格納することを示し、「撤去」とは不要なものを廃棄処分することを示します。解体作業は履歴をふまえた調査そのものですので、慎重に行います。

3) 保存再生・活用(まちづくり)の極意

時代の担い手(住民・NPO・技術者)を要請することです。担い手の確保をしないと、コミュニティの維持が困難になります。

NPO等は、空き家の事業を事業化するため、資金、税制面、所有者との信頼関係を築くことが必要になります。行政は、その活動を積極的に支援することが課題となります。

また、伝統の技の再生・習得・継承を次代に継承するシステムをきちんと構築していきます。

伝建修理だけでは限界がありますので、地区以外の伝統家屋の保存再生のための調査及び地場産材を活用した資源循環型住宅の開発と普及を行う必要があります。

それぞれの地域によって課題が異なると思いますが、上記の「八女福島のまちづくり」の事例の中から参考になるところがございましたら、ぜひ、仕事やまちづくり活動の中で活かしていただければと思います。