東日本大震災後に東北大学で発足した「災害科学国際研究所」は、他の3つの企業と共同で開発した「津波浸水被害のリアルタイムを推定する技術」を中核とした大学発ベンチャー企業「株式会社RTi-cast」を設立しています。

1) 「株式会社RTi-cast」を共同設立した企業とは?

「国立大学法人 東北大学の災害科学国際研究所(宮城県仙台市)」以外の3つの企業とは、「国際航業株式会社(東京都千代田区)」、「株式会社エイツー(東京都品川区)」、「日本電気株式会社(NEC、東京都港区)」です。

世界初の民間業者による「リアルタイム津波浸水・被害測定システム」を国内外の市場に向けて普及し、日本と世界の津波被害に貢献していきます。
本社は仙台市青葉区に設置し、東北大災害科学国際研究所特任教授で国際航業防災情報チームリーダーの村嶋陽一氏が社長に就任しています。国際航業は41.7%を出資する筆頭株主として、会社運営を中心的に担います。

(1)「リアルタイム津波浸水・被害測定システム」の概要

津波による浸水の被害測定をスーパーコンピューターによってリアルタイムに行う世界最先端のシステムです。現在15分で測定可能となっています。2014年の総務省Gシティー構築事業で実証されて、その後、2017年11月より内閣府での運用が始まっています。

スーパーコンピューターはNEC製品の「ベクトルスーパーコンピューター(SX-ACE)」で、東北大学(宮城県仙台市)と大阪大学(大阪府大阪市)の2箇所に設置されています。

(2)今後の活用

「株式会社RTi-cast」は、さらにこの技術の汎用性を向上させて、特に高精度に社会の様々なニーズに応え、小型のスーパーコンピューターによる分散型システムの開発や解析、津波発生時の浸水・被害推定結果のコンサルティングサービスや情報配信サービスを有料で行っていき、各自治体へも配信できることを模索していくそうです。

被害推定により、どこへ救助に向かい、どこへ物資を持っていけばよいかなどを具体的に検討できるようになり、災害から素早く立ち直る社会の実現に向けて取り組まれるそうです。

以上のように、防災に関する技術は東日本大震災の教訓を踏まえて、日進月歩で開発されています。

ぜひ、上記の津波発生時の浸水・被害推定結果の配信サービスなどを活用し、それぞれの地域の早期減災や、災害復興などにお役立てください。