過去地震による被害を検証すると、地盤と基礎に関する被害が圧倒的な割合を占めているにもかかわらず木造住宅の基礎に関する法的な規制が緩い状態でした。

ここでは、一様に軟弱な地盤における被害への対策に関してご紹介します。

1) 水田や湿地上の盛土で沈下が進行中の地盤

水田や湿地を造成して盛り土を行い、造成年数が浅いと、盛り土の沈下が進行中ということがあります。

(1) 予想される被害

被害は主に三つ考えられます。一つ目は「圧密沈下量が大きくなる」、二つ目は「引き込み管の破損を生じる可能性がある」、三つ目は「建物の質量に偏りがある場合、不同沈下が起こりやすい」です。

(2)対策

対策は主に三つ考えられます。一つ目は「基礎、地中梁の剛性を高め、不同沈下を防ぐ」、二つ目は「杭または柱状改良などにより良好な地質に支持させる」、三つ目は「軟弱地盤の層厚が薄い場合、表層改良を行う」です。

2) 深い沖積層上の地盤

東京の下町のように、沖積層と呼ばれる軟弱層が30m以上も続く地盤の場合、地震にもちゅういが必要となります。

(1)予想される被害

被害は、先ほどの場合に付け足して、地盤の揺れの周期が長く、建物の損傷が進んで周期が増大してくると共振現象起こすことに注意が必要です。関東大震災での、下町の住宅はこのような被災が多かったです。

(2)対策

主に三つの対策が考えられます。一つ目は「基礎、地中梁の剛性を高め、不同沈下を防ぐ」、二つ目は「摩擦杭などで支持させる」、三つ目は「壁を増やして建物の強度と剛性を高め、固定周期を短くする。また、耐力向上によって共振現象に対処する」です。

3)液状化の恐れのある地盤

液状化現象は、地下水位が高くて、砂質地盤の粒子の大きさが均一なゆるい地盤で発生します。

(1)予想される被害

地下水位が高く、ゆるい砂質地盤では、地震時に地下水の水圧が高くなり、砂の粒子間の結合と摩擦力が低下して砂層が液状化します。これによって、建物の傾斜や転倒または沈下が生じます。

(2)対策

基礎や地中梁の剛性を高め、不同沈下を防ぎます。基礎は、杭基礎として、地中梁で囲まれる部分の面積を小さくして剛性を高めた鉄筋コンクリートの布基礎、ベタ基礎とします。

地盤は、地盤改良を行う(表層改良、柱状改良)、敷砂利を十分に締め固める、砂利を30〜50cm敷いて、水を建物外部へ出すようにするなどが考えられます。

以上のように、地盤ごとに対策が異なってきます。実務等において参考になる部分がございましたらぜひご活用ください。