過去地震による被害を検証すると、地盤と基礎に関する被害が圧倒的な割合を占めているにもかかわらず木造住宅の基礎に関する法的な規制が緩い状態でした。

ここでも、一様に軟弱な地盤における被害への対策に関しての残りと、軟弱層の厚さが不均一な地盤に関しての対策をご紹介します。

1) 砂丘(一様に軟弱な地盤)

乾いた砂丘に振動が加わると、砂が移動して色々な被害が予想されます。

(1) 予想される被害

乾いた砂丘に振動が加わると、砂の移動により建物の傾斜や沈下の原因となることが多いです。

(2)対策

杭または柱状改良によって、良好な地盤に支持させます。または、基礎底面以下を全面に渡って、深さ2m程度まで地盤改良を行うことが有効です。

2) 締まっていない礫層(一様に軟弱な地盤)

礫層であっても、隙間が大きくて締まっていないと沈下が生じます。

(1)予想される被害

4つの被害が予想されます。一つ目は「沈下量が大きくなる」、二つ目は「建物の重量に偏りがある場合、不同沈下が生じやすい」、三つ目は「地震時に地盤沈下が生じやすい」、四つ目は「引き込み管の破損を生じる可能性がある」です。

(2)対策

3つの対策が考えられます。一つ目は「基礎、地中梁の剛性を高めて不同沈下を防ぐ」、二つ目は「杭または柱状改良などにより良好な地層に支持させる」、三つ目は「軟弱地盤の層厚が薄い場合、表層の改良を行う」です。

3)切土と盛土が混在する地盤(軟弱層の厚さが不均一な地盤)

造成地では、切土と盛土が混在している場合が多く、盛土部分の沈下や滑りが不同沈下の原因となりやすいです。

(1)予想される被害

3つの被害が予想されます。一つ目は「盛土部分の沈下量が大きくなり、不同沈下を起こしやすい」、二つ目は「地盤の揺れが異なり、盛土層部分の揺れが大きくなる」、三つ目は「雨水の浸透により盛土層に滑りが生じる」です。

(2)対策

3つの対策が考えられます。一つ目は「盛土層部分を地盤改良する」、二つ目は「盛土層部分に杭を打設する」、三つ目は「基礎、地中梁の剛性を高め、不同沈下を防ぐ」です。

一つ目の盛土層部分を地盤改良する場合、層厚が浅い場合は「表層改良」を行い、深い場合は「杭または柱状改良」を行います。

以上のように、地盤ごとに、そして軟弱層の分布の仕方によって対策が異なってきます。実務等において参考になる部分がございましたらぜひご活用ください。