木構造を理解し、設計するためには、その材料である「木材」のことをよく知る必要が有ります。ここでは、過去の被害例から設計上留意する点を学び、部材設計を行う前に押さえておくべき点をご紹介します。

1)木造の住宅に使用されている木材とは?

木材は大別すると、「針葉樹」と「広葉樹」の2種類に分けられます。それぞれについて詳しくご紹介します。

(1)針葉樹

針葉樹は繊維がまっすぐなものが多く、加工が容易で、構造材としてよく利用されています。国産材だと、「スギ」「ヒノキ」「アカマツ・クロマツ」「ヒバ」「カラマツ」などがあり、輸入品だと、「ベイヒ」「ベイヒバ」「ベイマツ」「ベイツガ」などがあります。

心材の耐蟻害・耐防腐性が最も高いのは、「ヒバ」「ベイヒバ」です。

(2)広葉樹

広葉樹は「堅木」ともいわれ、加工は容易ではないですが多種で風合いも多様です。主に造作材として使用されています。

構造材としては、「ケヤキ」や「クリ」が柱・土台・横架材に使用されることもありますが、ダボ・車知(しゃち)・楔(くさび)などの接合部に用いられることも多いです。

構造や構法としては、防蟻・防腐対策がとれていれば、材料の「ヤング係数」などに応じてどの材料を使用しても大丈夫です。

2)「ヤング係数」とは?

「ヤング係数」とは、荷重をかけた時の部材の変形しにくさを示す数値です。荷重を除くと元に戻ることができる範囲のことです。
「ヤング係数」は、「荷重」「変形」「スパン」「断面」から求められ、「ヤング係数」が高いとたわみが小さく、「ヤング係数」が低いとたわみが大きいことを表します。

(1)「ヤング係数」のばらつき対策

木材は、地域や気候、方角など様々な生育環境において影響を受け、同じ樹種においてもその強度や「ヤング係数」にばらつきがあります。

平成12年の建告1452号では統計上の5%下限値で基準強度を定めていますが、個々の部材強度特性が把握できれば、より合理的に部材を活用する「適材適所」が可能になります。

たとえば、強度や「ヤング係数」の小さいものはあまり強度を必要としない短スパン梁に使用し、強度や「ヤング係数」の大きいものは大スパン梁に使用することができます。

木造の住宅に使用されている木材の2種類と部材の変形しにくさを表す「ヤング係数」に関して詳しくご紹介させていただきました。実務等において参考になる部分がございましたらぜひご活用ください。