木構造を理解し、設計するためには、その材料である「木材」のことをよく知る必要が有ります。

ここでは、過去の被害例から設計上留意する点を学び、部材設計を行う前に押さえておくべき点をご紹介します。

前回は「木材の異方性」と「木材の含水率」に関してご紹介しましたが、今回は「木材のクリープ変形量」と「構造的に問題となる欠点」に関してご紹介いたします。

1)「木材のクリープ変形」とは?

「クリープ変形」とは、長期間一定の荷重が作用したときに、たわみが徐々に増加する現象のことです。

「クリープ」は木材だけではなく、鉄筋コンクリートや鉄骨、プラスチック、プラスチック、ゴムなどにも生じますが、木材の場合は、施工時の含水率と使用箇所での温湿度の影響を受けるのが特徴です。

(1)「含水率」と「クリープ変形」量の関係

含水率20%以上の未乾燥材の場合、初期変形1に対してクリープ変形は3.5〜4.0倍にもなります。乾燥材でも、初期変形1に対してクリープ後の変形は2.0〜2.5倍になります。

(2)平成12年建告1459号における注意点

平成12年建告1459号では、木造の長期間の荷重における変形の増大係数を2としています。この数字は乾燥材を使用することを前提とした数値です。

つまり、止むを得ず未乾燥材を使用する場合では、告示の数値よりも変形量をシビアに抑えて断面に余裕を持たせるような工夫が必要です。

2)「構造的に問題となる欠点」とは?

木材の欠点は、「節」「割れ」「入皮」「アテ」「ねじれ」などが考えられますが、構造的に問題となるのは3つです。一つ目は「節」、二つ目は「目切れ」、三つ目は「切り欠き・割れ」です。

(1)木材の欠点による梁の壊れ方

梁に荷重がかかるところはスパンの中央の下端で、この最も引っ張られるところに、節や目切れ、切り欠き・割れがあると割れたり裂けたりしやすいです。

また、柱と梁の接合部において、梁に切り欠きを設ける場合、曲げ材(梁)の引っ張り側(梁スパンの中央の下端)に切り欠きがあると割裂きが生じやすくなります。それをふせぐために切り欠きは梁せいの1/3以下とするなどの配慮が必要です。

梁の設計において、建築基準法では、たわみはスパンの1/250以下となっており、設計の範囲内において、「梁の中央下部に節あり」の場合のみ荷重に対する中央部分の変位が大きくなっていますので決して「梁の中央下部に節あり」を用いてはならないことが分かります。

「木材のクリープ変形」と「構造的に問題となる欠点」に関して詳しくご紹介させていただきました。実務等において参考になる部分がございましたらぜひご活用ください。