建築基準法では、「政令で定める窓その他の開口部を有しない居室」というセンテンスが何度か出てきます。

これに該当する居室のことを、設計の現場では「無窓居室(むそうきょしつ)」と呼んでいます。
今回は無窓居室についてご紹介します。

1)「無窓居室」のおおまかな理解

(1)無窓居室(政令で定める窓その他の開口部を有しない居室)とは

政令つまり建築基準法施行令のなかで、大きさや位置などが細かく規定されているところの「窓その他の開口部」がない居室を指します。

窓が全くない居室はもちろん、窓があっても、決められた大きさや位置などを満足しない場合は、無窓居室となります。

当然ですが、「窓その他の開口部」は外面する開口部を前提としています。

(2)無窓居室は一種類ではない

じつは「政令で定める窓その他の開口部を有しない居室」は、建築基準法および建築基準法施行令上の、三つの異なる条項グループに関連して登場します。

つまり、無窓居室は大きく三種類あります。
そのことが無窓居室の直観的な理解をややこしくしています。

(3)無窓居室があるとどうなる?

建築物が無窓居室を含むか否かによって、建築基準法による制限内容が変わります。

建築基準法の単体規定は、おもに建築物の規模(面積や階数)や用途に基づいていろいろな制限が課せられる仕組みになっており、その点比較的わかりやすいと言えますが、一部の条項については、それに加えて無窓居室の有無によっても課せられる内容が変わることになっており、それが法適用を少しだけ複雑化しています。

2)具体的な条項

一見複雑な体系のように思える無窓居室ですが、建築基準法(以下「法」)の条番号をベースに覚えておけば、じつは簡単です。
単純に、法第35条、法第35条の2、法第35条の3です。

(1)法第35条関連の無窓居室

法第35条は「避難」全般に関する条項です。
「避難」に関わる無窓居室についての具体的な条項は、建築基準法施行令(以下「令」)第116条の2です。

(2)法第35条の2関連の無窓居室

法第35条の2は「内装制限」全般に関する条項です。
「内装制限」に関わる無窓居室についての具体的な条項は、令第128条の3の2です。

(3)法第35条の3関連の無窓居室

法第35条の3は「無窓居室の主要構造部」について定められた条項です。
法第35条の3に該当する無窓居室についての具体的な条項は、令第111条です。

以上、無窓居室のおおまかな体系についてご紹介しました。
実務において参考になる部分がございましたら、ぜひご活用ください。