建築物を設計する際、耐震性能を設定する際の手掛かりとして、国土交通省の「官庁施設の総合耐震・対津波計画基準」を準用する方法があります。

同基準では、施設の性格に応じて、求められる耐震性能が「耐震安全性の分類」というかたちで示されています。
いわゆる耐震グレードと呼ばれるものです。

前回は、構造体の耐震安全性の分類について概説しましたが、今回は建築非構造部材、建築設備についてご紹介します。

1)建築非構造部材の「耐震安全性の分類」

建築非構造部材とは一般に、内装材、外装材、建具などを指します。
特に天井の耐震安全性ついては、地震時の落下被害が多く報告されたことから、近年注目されました。

(1)分類A

「大地震動後、災害応急対策活動等を円滑に行ううえ、又は危険物の管理のうえで支障となる建築非構造部材の損傷、移動等が発生しないことを目標とし、人命の安全確保に加えて十分な機能確保が図られるものとする。また、機能の停止が許されない室においては、要求される機能に応じた検討を行う。」
と規定されています。

対象となる施設は、災害応急対策活動に必要な施設、危険物を貯蔵又は使用する施設です。

(2)分類B

「大地震動により建築非構造部材の損傷、移動等が発生する場合でも、人命の安全確保と二次災害の防止が図られていることを目標とする。」
と規定されています。

対象となる施設は、分類A以外の施設および、分類Aの施設の主要室以外の室です。

(3)建築非構造部材の耐震設計の基本方針

大地震時において、構造体の変形に対して追従しつつ、必要な安全性を確保するよう設計することとされています。

2)建築設備の「耐震安全性の分類」

(1)分類甲

「大地震動後の人命の安全確保及び二次災害の防止が図られているとともに、大きな補修をすることなく、必要な設備機能を相当期間継続できることを目標とする。」
と規定されています。

対象施設は、災害応急対策活動に必要な施設及び危険物を貯蔵又は使用する施設です。

(2)分類乙

「大地震動後の人命の安全確保及び二次災害の防止が図られていることを目標とする。」
と規定されています。

対象となる施設は、分類甲以外の施設です。

(3)建築設備の耐震設計の基本方針

大地震時において、設備機器や配管等が移動、転倒、破損等しないこと、また特に配管については、構造体の変形及び地盤との相対変位に追従し、所要の機能を確保するよう設計することとされています。

以上、建築非構造部材、建築設備の耐震安全性の分類についてご紹介しました。
実務において参考になる部分がございましたら、ぜひご活用ください。