金属板は、廉価で耐久性の高い板材が普及したことにより、屋根葺材としてすっかりなじみのあるものになりました。

今回は、金属板を使用した屋根工事の中でも、特に板金屋根についてご紹介します。

1)板金とは

(1)板金工事とは

建築工事では一般に、薄い金属板を用いて内外装を施す工事を指します。

また、建築設備工事においては、空調ダクトなどの製作・取付を行う工事を板金工事と呼ぶことがあります。

(2)板金屋根工事とは

薄い金属板を用いた外装工事のうち、屋根や樋に関する工事を指します。

ただし、日常的な用法としては、折曲げ・切断などの加工を施しつつ金属板で葺く場合を板金屋根と呼び、折板や波板を使った屋根工事は、同じく薄い金属板を用い、また、同じ工事業者が工事する場合が多いにもかかわらず、ふつう板金屋根とは呼びません。

(3)板金工事の担い手

建設業法上、板金工事は「板金工事業」、板金屋根工事は「屋根工事業」に分類されます。

板金屋根工事を請け負う業者の中には、「板金工事業」と「屋根工事業」、双方の建設業許可を取っている業者も多く見られます。

2)板金屋根工事のポイント

建築設計において、板金屋根を採用する際の、基本的なポイントをご紹介します。

(1)材料

採用する金属板の材種、板厚によって、表情、加工性(つまりデザインの自由度)、耐久性、コストが大きく変わります。

(2)加工または葺き方

板金屋根には様々な葺き方があり、どのように葺くかが建物のデザインと防水性能に大きく影響します。

設計者が葺き方、納まり、各部の寸法を設計するのが本来的ではありますが、現在では屋根材メーカー(金属板の加工メーカー)が、様々な葺き方、様々なバリエーションを加工商品として用意しており、適したものを選択することで、一定の性能が保障された金属板屋根とすることができます。

(3)工事業者

板金屋根は工事業者によって、いわゆる上手・下手の差が出やすいと言われています。

(2)でご紹介したような屋根材メーカーの商品ラインナップから採用する場合は、それほど差がつきませんが、銅板葺など、板金屋根が建物の重要な表現になるような場合は、設計時から優秀な工事業者の意見を聴くことが必要な場合もあります。

(4)留意点

一般的に、上記の(1)材料メーカー、(2)加工メーカー、(3)工事業者がそれぞれ異なっていることに留意する必要があります。

設計段階では、採用する板材の種類・板厚と、それを用いた葺き方をそれぞれ注意深く検討しておく必要があります。

現場に入ってからは、板金屋根工事業者が可能な加工(または取扱可能な加工メーカー)が限られる場合もあるので、どこまで現場に柔軟性をもたせるのか、コストも考慮し検討しておく必要があるかもしれません。

以上、板金屋根の基本的な事柄についてご紹介しました。
実務において参考になる部分がございましたら、ぜひご活用ください。