今回は、板金屋根で現在よく用いられる板材について、ご紹介します。

1)めっき鋼板系

(1)溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板

通称「ガルバリウム鋼板」として知られる、アルミニウムと亜鉛の合金めっきを施した鋼板です。

それまでの溶融亜鉛めっき鋼板(いわゆるトタン)に比べ、耐久性が格段に高く、価格も手ごろであったことから、鋼板による屋根を恒久屋根材として広く認知させた建材です。

近年では、アルミニウムと亜鉛に加えてマグネシウムを添加し、従来品よりさらに耐久性を向上させたガルバリウム鋼板製品が開発されています(日鉄住金鋼板株式会社:エスジーエル)。

(2)溶融アルミニウムめっき鋼板

アルミニウムめっきを施した鋼板です。

建築の現場では、商品名「アルスター鋼板」の名で呼ばれることが多いです。
ガルバリウム鋼板に比べて、耐久性・価格とも高いです。

2)塗装鋼板系

めっき鋼板類は一般的シルバー色やグレー色ですが、それらに樹脂塗装を施した屋根板材です。

特に、ガルバリウム鋼板に塗装を施した板材は「カラーガルバリウム鋼板」と呼ばれ、よく採用されています。

国土交通省の公共建築工事標準仕様書では、金属板葺に関してはこの「カラーガルバリウム鋼板」(塗装溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板 JIS G 3322)が、標準と位置付けられています。

塗材については、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂など、多様な製品が販売されています。
塗材の種類により、耐久性と価格が大きく変わります。

3)その他

(1)銅板

かつては、国内で板金屋根の代表格と言えば、銅板葺であったと思います。
柔らかいので加工性がよく、デザインの自由度が大変高いです。

色については、最初は地金の銅色、時間経過とともに緑青が発生し青から緑にかけた色合いに変化します。古典的なイメージを想起しやすく、その意味で自由度は高くないかもしれません。

以前は、銅板を基材に様々な表面処理を施した製品を見かけましたが、近年は少なくなってきたと思われます。

(2)ステンレス

耐久性が高く、また、金属らしいシルバー色を保ち続けることができるため、意匠的な理由で採用されることもあります。

(3)チタン

耐久性が抜群に高く、近年では寺社の屋根に採用される例をよく見かけます。
価格は他の板材と比べやはり高額です。

以上、板金屋根の板材についてご紹介しました。
実務において参考になる部分がございましたら、ぜひご活用ください。