建築確認申請の際、事前に「60条証明」という手続きが必要となる場合があります。
今回は、この60条証明について概説します。

1)60条証明とは

(1)根拠となる法令

60条証明とは、都市計画法施行規則(以下「規則」) 第60条に規定されている手続きのことです。
単に「適合証明」などと称される場合もあります。

条文を要約すると、建築確認申請をしようとする者は、その計画が都市計画法(以下「法」)の諸規定に適合していることを証明する書面を、自治体などの行政機関に求めることができる、となります。

(2)対象となる規定

(1)の都市計画法の諸規定とは、具体的には、
法第29条 第1~2項(開発許可)、
法第35条の2 第1項(開発変更許可)、
法第41条 第2項(指定の建築制限を超える建築物の許可)、
法第42条(開発行為を受けた土地における建築許可)
法第43条 第1項(開発行為を受けた土地以外における建築許可)
法第53条 第1項(都市計画施設の区域等における建築許可)
です。

建築確認を出そうとしている計画が、これらの規定に適合していることを証明するのが、60条証明の役割ということになります。

2)60条証明の要否

(1)誰が要求するのか

規則第60条では上述のように、建築確認の申請者が行政機関に対して60条証明を求めることができる、という表現のしかたがなされていますが、より実際的には、建築確認済証を交付する者(建築主事または民間審査機関)が、当該計画が都市計画法上も問題ないことを確認するために、建築確認の申請者に60条証明を要求し、建築確認の申請者が行政機関に対して60条証明書の交付を要求する。という道筋になります。

(2)実際の流れ

しかし、確認申請提出後、建築主事または民間審査機関が60条証明を要求し、それを受けてはじめて建築確認の申請者が60条証明の申請手続きに入ったのでは、計画内容にもスケジュールにも多大な影響を及ぼしてしまいます。

そのため実際には、計画初期の段階で、確認申請の際60条証明が要求されるケースにあたるかどうかを、行政機関等に相談します。

明確に60条証明の要否を答えてもらえる場合もあれば、建築主事の判断によるが60条証明を取ってもらったほうが安全である、などと言われる場合もあります。

必要である場合は、確認申請までに60条証明の交付を済ませておき、確認申請時にはその書類一式を添付するというかたちをとります。

以上、60条証明の大まかな位置づけと運用の実際についてご紹介しました。
実務において参考になる部分がございましたら、ぜひご活用ください。