今回は、板金屋根の葺き方について、ご紹介します。

1)立はぜ葺き(たてはぜぶき)

長尺材を使った、現在ではポピュラーな葺き方です。
板材同志のジョイントが少ない上、ジョイント部分が立ち上がっているので、一般に高い防水性能を確保できます。

(1)立平葺き(たてひらぶき)

長尺板材の両側長辺を折り曲げて立ち上げ、溝板にします。
屋根勾配方向が長尺方向になるよう並べた、隣り合う溝板の立ち上がりを、はぜ(※)で接合する葺き方です。

(※)折り曲げて巻き込み、板材同志をジョイントする方法

(2)スタンディングシーム葺き

立て平葺きと似ていますが、隣り合う溝板の立ち上がりを接合する際、キャップ材を使用します。
後述の「瓦棒葺き」から、心木を取り除いたものとも言ってよいかもしれません。

2)瓦棒葺き(かわらぼうぶき)

立はぜ葺きと同様、長尺材を使った、防水性の高い葺き方です。

(1)心木あり瓦棒葺き(しんぎありかわらぼうぶき)

野地板の上に、木の棒材(心木)を屋根勾配方向と平行に一定間隔で並べ、心木間に溝板を敷いて、板立ち上がり部分を心木に固定しつつ、キャップ材で心木を包みこむよう接合する葺き方です。

(2)心木なし瓦棒葺き(しんぎなしかわらぼうぶき)

心木あり瓦棒葺きから、木の芯材を省略した葺き方です。

3)平葺き(ひらぶき)

立はぜを用いず、平面的に葺く伝統的な葺き方です。

(1)一文字葺き(いちもんじぶき)

一定サイズの矩形板材を水上、水下、左右の板材とはぜで接合する葺き方です。
一般的に馬目地パターンの見えがかりとなります。
板金屋根をもつ国内伝統的建造物の多くは、この葺き方ではないでしょうか。

(2)段葺き(だんぶき)

野地板に段を付けるなどし、一文字葺きの水上側板材と水下側板材との間に高低差を設ける葺き方です。

(3)菱葺き(ひしぶき)

屋根勾配方向に対して45度振れた、正方形パターンの葺き形状とする葺き方です。
バリエーションとして、六角形の葺き形状とする亀甲葺きがあります。

4)板金屋根商品について

上にご紹介したような、板金屋根の基本的な葺き方をベースにしつつ、さらに防水性能や施工性を高めた様々な板金屋根商品が、屋根材メーカーから販売されています。

一つの特徴として、板材同志のジョイント部分を、かつてのように工具を使ってかしめる代わりに、ワンタッチで嵌めこみ固定する、嵌合(かんごう)式のものが多く見られます。

以上、板金屋根の葺き方についてご紹介しました。
実務において参考になる部分がございましたら、ぜひご活用ください。