設計士の仕事に活かせる講習はたくさんありますが、その中でも、受講しておくと今後仕事に繋がりやすい講習をご紹介します。

今回は、全国的に広がっている「既存住宅状況調査技術者」という講習に関して詳しくご紹介します。

1)既存住宅状況調査技術者とは?

平成28年6月に宅地建物取引業法が一部改正されました。それに伴い、平成30年4月から既存住宅の売買時に「既存住宅状況調査」に関する説明が義務付けられます。

その「既存住宅状況調査」の実施は、登録機関の講習を終了した建築士にのみ認められており、今後、建築士の新たな業務として期待されている旬な領域です。

2)登録機関の講習とは?

主に全国の建築士会が講習を行っています。講習を受けられるのは、一級、二級、木造建築士の有資格者のみです。全国の建築士会で受講できますが、場所によって日時が異なりますので詳しくは各都道府県の建築士会にお問い合わせください。

3)資格を取得するとどんなメリットがありますか?

大きく五つのメリットがあります。一つ目は、国土交通省告示「既存住宅状況調査方法基準」に基づく調査方法や、それに付随する非破壊検査やその他の調査検査機器、関係法令、既存住宅売買時における調査結果の活用、調査報告書の記載方法などの実践的な幅広い知識を得ることができます。

二つ目は、講習修了者は、公益社団法人に登録され、高い信頼性を消費者へアピールできます。

三つ目は、既存住宅状況調査結果を活用した「既存住宅売買瑕疵保険」への加入が可能です。

四つ目は、「長期優良住宅化リフォーム推進事業における現況調査」も可能となる予定ですので、仕事の幅が広がります。

五つ目は、講習修了者に、官公庁の設計・工事入札に活用できる建築士会CPD単位5単位が付与されます。このように、受講料21,600円で約6時間の講習を受けるだけでたくさんのメリットが得られます。

4)講習が緩和される場合はありますか?

すでに国土交通省の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」のインスペクターとして講習登録団体に登録されている建築士の場合は、「移行講習」という簡易な講習のみ受講すれば大丈夫です。

この場合は、受講費用17,280円で講習時間は約4時間となります。

今後も建築士の仕事に活かせる講習をお伝えしていきますので、ぜひ、興味のある講習を受講し、仕事につなげていただければと思います。