生物被害により、一般住宅から文化財建築に至るまで様々な建築が被害を受けています。

(独)東京文化財研究所 名誉研究員 新井英夫 先生の調査研究では、どんな生物被害があるのか、具体的にどのように防除できるのかを明らかにされています。

ここでは、どのような被害があるのかと、有効な防除対策に関してご紹介します。

1) 生物被害の事例

特に「石材」「漆喰壁」に関してご説明します。

(1)石材における生物被害

石材においては、「樹木」「藻類」「地衣類」「細菌」等の著しい繁殖により、石材が融解しております。

自然界の岩石が、地球上で徐々に土壌化するときの流れで劣化が進んでいるのです。まず、岩石に着生する生物は「地衣類」と考えられます。

その後に、無機物・有機物が各種の「微生物」による作用を受け、または「微生物」の代謝性生物によって種々の土壌が形成されます。さらに「樹木」の樹根が岩石内部に侵入して岩石を崩壊する現象も各地で見受けられます。

(2)漆喰壁における生物被害

漆喰壁の黒変現象を確認されたことがあると思います。この黒変現象は、雨水や地下水の供給が著しい部位や通気性不良な壁面にクロカビ(クラドスポリウム菌)が繁殖する結果と判明しております。

2) 加害生物の防除対策

新井先生の調査研究により、樹木を除いた「藻類」「地衣類」「糸状菌(カビ類)」「細菌類」による各種石造物の生物被害は、水の供給を効果的に遮断すれば長期間(例えば20年間)加害生物の発生を阻止できることが判明しています。

(1)防除対策に有効な手段

お勧めする手段は、現在「国宝」建築物の生物被害にも使用されている、無機質系建材表層強化剤「ウォーターセラミック」(株式会社 アクアテック)を塗布することです。

粘土・砂の粒子間をシリカによって固結し、且つ疎水性を与えて水の侵入に抵抗し、耐久性を持たせることができます。そして、土の呼吸を妨げないことが最もお勧めする理由です。

自浄作用があるため、塗布後2年目くらいが最も美しくなる特性があります。
施工方法は、霧吹き等で散布出来ますので非常に簡単です。実際に、世界文化遺産・国宝「姫路城」や「東京文化会館」でも採用され、姫路城の漆喰壁での実験では20年間白いままでした。

(2)材料の価格

コンクリートに塗布する場合、約1,250/㎡(税別)ですので、効果のある期間を考慮すると採用しやすいと思います。

(3)適用できる素材

「コンクリート」「石材」「レンガ」「タイル」「ALCパネル リシン吹付塗装」などですが、その他の材料にも使える場合がありますので、製造元へお問い合わせください。

生物被害にお困りの際には、「ウォーターセラミック」塗布を防除対策の一つに挙げてみられてはいかがでしょうか。