遵法性を確保しながら、または、遵法性を確保できる範囲で、改修内容を定めてゆくことは、改修設計における重要なポイントの一つです。

今回は、屋根・外壁を改修する際の、確認申請の要否に関してご紹介します。

1)大前提 -過半の修繕または模様替

通常規模の木造2階建住宅のような、いわゆる四号建築物等でない限り、大規模の修繕や大規模の模様替は、建築確認を要します。

大規模の修繕、大規模の模様替とは、主要構造部の一種以上について行う過半の修繕、模様替を指します。

主要構造部とは、原則として壁、柱、床、はり、屋根又は階段を指し、建築物の構造上重要な部位と要約できます。

なお、この構造上とは、構造耐力上という意味ではなく、おもに防耐火避難上と一般的に解釈されています。

結論的には、建築基準法第6条第1項一~三号にあたる建築物の屋根や外壁を改修する際、各々の面積の半分を超えて改修する場合は、原則として建築確認の対象となります。

2)実際の取り扱い

しかし、例えば表面材のみを張替える場合等にも、確認申請は必要なのでしょうか。

実際には、工事でさわる部分が、主要構造部を構成する部位としてどの程度重要かが勘案され、取り扱われているように見受けられます。

しかし、その見極めは大変難しいため、結論的には、具体案を持って、確認審査機関に個別の判断を仰ぐことが必要です。

下記に実際の取り扱いの例を紹介しますが、計画内容によっても、自治体や確認審査機関によっても、判断は大きく変わると考えらえますので、注意が必要です。

(1)屋根

■ケース1「鉄筋コンクリート造屋根スラブ上の防水をやりかえる場合」

大規模の修繕に当たらないと判断される可能性が高いです。
一つの根拠としては、鉄筋コンクリート造屋根は、それのみで耐火構造と告示で定められており、その表面材の修繕は、主要構造部としての性能を損ねないと考えられるからです。

■ケース2「野地板のある屋根構成の場合で、屋根葺材のみを葺き替える場合」

野地板は触らず、その上の防水シートと屋根葺材(瓦や金属板)のみをやりかえる場合、自治体によっては、大規模の修繕に当たらないと判断される場合があります。
自治体や確認審査機関によって、大きく判断が分かれると考えられます。

■ケース3「折板屋根をやりかえる」

工場や倉庫などでは、鉄骨下地に直接折板材を固定しただけの、簡素な屋根がよく採用されます。

この場合、折板材そのものが屋根を構成しているため、その取り換えは、大規模の修繕に当たると判断されます。

(2)外壁

■ケース4「鉄筋コンクリート造外壁の塗装塗り替え」
■ケース5「鉄筋コンクリート造外壁への外断熱層の付加」

上述ケース1と同様、大規模の修繕、模様替に当たらないと判断される可能性が高いです。

■ケース6「認定仕様による外壁」

大臣認定による耐火構造、準耐火構造、防火構造などの場合、表面材から内装材までをふくめて防耐火性能を確保していることが多いですが、そのような場合、たとえ表面材のみの張替えであっても、原則的には大規模の修繕と判断されます。

以上、屋根・外壁の改修の際の確認申請の要否に関して紹介させていただきました。
参考になる部分がございましたら、ぜひご活用ください。