生産施設に関する法令として、前回は工場立地法について概説しました。
今回は、その他の法令について大まかにご紹介します。

1)消防法

消防法は、建築設計者にとっては普段慣れ親しんでいる法令のひとつと言えますが、特に生産施設の場合、それが危険物施設に該当するかどうかに注意する必要があります。

消防法第3章に記されている危険物施設については、「消防法施行令」ではなく、「危険物の規制に関わる政令」において詳しい制限が規定されており、一般の防火対象物とは別の扱いとなっています。

取り扱う危険物の種別と数量、施設の性質(危険物の製造所か、貯蔵所か、取扱所か)により、求められる消防用設備と建築仕様が大きく異なります。

また、取り扱う危険物が数量でない限り、危険物施設の設置は、消防署の許認可が必要となります。通常の、確認申請に伴う消防同意のみとは異なる点、注意する必要があります。

2)土壌汚染対策法

ヒ素や鉛など、法令で定められている「特定有害物質」による土壌汚染の対策を図り、人の健康を保護することを目的とした法令です。

建築計画に大きく関わる制限として、特に第4条の、3,000平方メートル以上の「土地の形質の変更」をする場合、届出が必要となる点、認識しておく必要があります。

届出の結果、計画地が土壌汚染のおそれありと判断された場合、調査が必要となり、調査結果によっては汚染物質の除去などの対応が必要になる場合もあります。

スケジュールやコスト、あるいは計画の可否そのもの関わる場合があり、生産施設では、敷地の経歴上、特に注意が必要です。

また、「形質の変更」は、都市計画法上の「形質の変更」の定義と大きく異なる点、気をつける必要があります。

大雑把にいうと、都市計画法上では、地面の仕上レベルが工事前と変わらなければ形質の変更に当たらないと見做されますが、土壌汚染対策法の場合は、土工事そのものが形質の変更に当たります。取り扱いの詳細は、担当窓口で確認する必要があります。

3)その他

(1)公害防止に関わるもの

騒音規制法、振動規制法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法などがあります。
大気汚染防止法、水質汚濁防止法はどちらかと言えば、工場設備に関わる法令と言えます。

(2)業態に関わるもの

生産施設の業態に応じて、各種の法令がかかる場合があります。
例えば、食品衛生法や、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律などです。

以上、生産施設の関連法令についてご紹介しました。
実務において参考になる部分がございましたら、ぜひご活用ください。